大籠キリシタン殉教公園への道のり③ 本丸!キリシタン資料館とクルス館
さて、雪が積もってしまう前に、と紅葉も終わった頃に行ってきました。ちょうど秋晴れの気持ちのいいお天気の日でした。
藤沢町の街中からもだいぶ遠い感覚でした。途中「大籠キリシタン殉教公園まであと12km」とか看板が出てるんですが「まだあと12kmもあるの!?」ってなりましたね…岩手県民の距離感バグりすぎ。山あいなのでカーブも坂も多く「冬は絶対無理だな〜」と思いました。県南だからそこまで雪は多くないかもしれないけど。
途中、最近ではあまり見かけなくなった聖書看板を見つけて慌ててカメラ構えたらものすごく指が写りこみました。この地でこのメッセージは意味深だな…藤沢町やたらと聖書看板見かけたんだけど、やっぱり土地柄なのかな。
さて、大籠キリシタン殉教公園は
- 大籠キリシタン資料館
- クルス館
の2つからなる施設です。まずは資料館で大籠のキリシタンの歴史を学び、クルス館にて舟越保武のキリスト像を拝むのがオススメルート。
資料館は靴を脱いでスリッパに履き替えて入るタイプの施設だったので、脱ぎ履きしやすい、かつ歩きやすい靴をオススメします。理由は後で分かります。
ちなみに友人が出る時に靴を履こうとしたら中にカメムシが入り込んでいて気の毒過ぎて超笑いました。野山しかないからそういうこともあるよ。
中に入ると受付の方が「大籠の歴史をまとめた映像観られますよ」というので見せていただくことに。15分ほどでキリシタンの弾圧の歴史が学べます。こんなんあるなら別に前もって調べてこなくても良かったな。とても分かりやすかったです。
こちらは禁教令の最中果敢にも大籠へやって来て、20年もの間大籠のキリシタンを導いたバラヤス神父(想像)仙台で捉えられ、後に江戸で火あぶりの刑にされてしまいました。
これは多分大籠で見つかったものでは無いと思うけど、キリシタン鍔。刀につけるやつ。原料の鉄はもしかしたら大籠産かもしれないね。こういうのであの手この手でどうにかモチーフを入れてこっそり信仰を主張してたのかと思うとなんか…オタバレはしたくないけど一般のコミュニティで同士を見つけたいオタクの心情を…こう…彷彿とさせる…
他にも隠れキリシタンのほんのりキリシタン主張グッズがたくさんあったんだけど、見たかったやつがだいたい足利でやってた諸星大二郎展に貸出中だった!!もう!
台転場という、集落のどん詰まりのような逃げ場のない所で踏み絵を行っていたそうです。飲酒運転の検問みたいだな。
人里離れた山中の祠でこっそりとミサを行っていたそう。今でもその場所は残っています。
生々しい拷問のジオラマ。
大籠の古民家において隠れキリシタンの隠し礼拝堂が見つかったそう。さすがわかりにくい!道中周りにこういう藁葺きの大きなお家何軒か見かけたけど、そこにも未だにあったりするのかな。
キリシタンの風習
孕み箸自体は聞くけど、こんなの絶対箸として使えないし、十字に組むなんて更に聞いた事ないよねぇ。ほんとあの手この手だな。
隠れキリシタン達がいかに苦労したかが分かります。持ってたら死ぬかもしれない、というシンボルを頑なに持ち続ける。信仰心のない私には理解し難い…。オタクだけどあんまりモノに執着しないタイプのオタクなので…多分私がキリシタンだったとしたら「公式(イエス・キリスト)しか勝たん。同人グッズなぞいらん」って言ってたと思う(例えがバチあたりすぎるんだよ)
非常にコンパクトな施設だけど綺麗だし、生々しい隠れキリシタングッズ達が間近で拝める機会はこの辺りではそう滅多にないのでとても面白かったです。面白いって言っていいのか分からんけど。
私が行ったのは週末の昼間だったけど誰も居なかったのでゆっくり見ることが出来ました。でも諸星大二郎展への貸出が…くそう…。
諸星大二郎って誰だよ!!と思ってその場で調べたらエヴァンゲリオンの庵野監督も、SIRENというゲームの作者も影響を受けた漫画家とか書いてあったんで(エヴァもSIRENも好きなのに知りませんでした、不勉強でした)後から調べたら諸星大二郎の「生命の木」という作品が東北のキリシタンをモデルにしていると。
映画にもなってる。阿部寛!
全然知らなかったけど「ぱらいそさ行くだ!」のフレーズだけは何故か知っていた…。いんへるのとかめっちゃエヴァだ…エヴァで見たやつ…えぇ…諸星大二郎展行きたい…
話が逸れた。
さて資料館を堪能したあとはクルス館へと向かうわけですが
ご覧下さい、この階段を。スニーカー推奨だろ…
大籠での殉教者の数とおなじ、309段あります。一段一段踏みしめてクルス館へと向かうのです。当然雪が降ると登れませんので冬季は閉鎖。
迂回路として階段のない「十字架への道行」というルートがあり、そちらはイエス・キリストが十字架へかけられるまでの様子を描いたレリーフが見られます。
おさかなはキリスト教のシンボルなんですね。何で?魚5000人分に増やしたから?ペトロとアンデレが漁師だったから??
中腹まで登った様子。この後から急に階段の幅が狭くなり更に登りづらくなる。絶対309段にするために無茶したとこある。普段全然運動しないので本当に辛い。息がゼェゼェ言い始めるし膝がガクガク。もうちょっとした登山気分。お年寄りにはオススメしません。
309段の階段があるというのは知っていたけど、こんなにハードだと思わなかったよ。階段を登るとカリヨンが見えてきます。
資料館の方が「クルス館の鐘は2つあって鳴らせますので是非どうぞ」って言っていたのでこれの事かと思ってたら、これは鳴らせませんでした。
高台にあるだけあって眺めが良いです。
こちらがクルス館。建物も舟越保武が設計指導したのだとか。無人でちょっと怖かったです…。
中にはイエス・キリスト、マリア・マグダレナ、聖クララの三つの像があります。
なんか写真に収めていいのかちょっと迷ったので写真は撮っておりません。(多分良いんだろうけど、畏れ多いというか)
2階部分のバルコニーにある鐘と、この螺旋階段を上がったところにある鐘は自由に鳴らせるそうです。是非哀悼の意味を込めて鳴らしてみて下さい。
この階段狭いし、吹き抜けになってるから意外と高さがあって怖かった…。
ちょうどクルス館を去ろうとあの階段を降りかけた所でカリヨンが「アメージンググレース」を奏で始めました。近くに居たのと、鳴るのを知らなかったのでめちゃくちゃびっくりして転げ落ちるかと思いました。鳴る時間が決まってるみたいですね。落ちかけた陽とアメージンググレース。何だか寂しい気持ちになった。
帰り道は迂回路を使ったのですが、遠藤周作のメッセージの碑がありました。何度かこの地を訪れていたそうですね。他の作品も読んでみようかな。
天気のいい週末だというのに私達以外に見学者はおらず、なんとも寂しい場所でした。まぁ時期的なこともあるのかもしれないけど。しかし施設はどこも綺麗に手入れしてあって、地元の小学生の描いた絵なんかもあるし、地元の人たちが大切にしている場所なんだなと思いました。
さて私が直接行った場所としてはこれで終わりなんですが、ここへ向かう道中にも「キリシタン遺跡」があって、そこも興味深かったのでちょっとまとめたいと思います。