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かもめ食堂が怖い

かもめ食堂を観てフィンランドに憧れて新婚旅行で行った」という子がいた。

はーはぁ、かもめ食堂ね、なんか聞いたことはあるけど見たことなかったな。小林聡美とか片桐はいりが出てるやつだよね。こんな田舎からフィンランドに行くにはさぞかし大変だったろう、まず新幹線で東京まで行ってそこから成田、そこからも10時間以上。旅費だってかなりかかるだろう。そこまでさせるくらいの映画なのか、ちょうどアマプラで見放題になってるしちょっくら観てみるか。

 

 

 

 

 

以下映画のネタバレを含みます。

 

 

 

 

小林聡美が(何故か)フィンランドで「かもめ食堂」という食堂を経営してるんだけど

まずね、なんでフィンランドで食堂やってるの?っていう疑問がマジで最後まで解明されない。聞かれてもふんわりテキトーないい事っぽい意味ありげな、でも全然意味の無い嘘しか答えない。怖い。

小林聡美片桐はいりもたいまさこも「なんでフィンランドなのか」とか「どういう人間なのか」とかいう背景がほぼ一切分からないんですよ。(小林聡美以外の2人はフィンランドに来た経緯は話していたけど理由は謎)

セリフのひとつひとつも、意味ありげで全っ然意味ないの。ふわふわしてる。「ガッチャマンを歌える人に悪い人はいない」とか、何?それで会ったばかりの他人を家に泊まらせるの怖くない???セリフとアクションが全然繋がらない。

もたいまさこロストバゲージした荷物が見つかったくだりなんてほぼホラー。こんなの死後の世界だよもう。全て夢オチであってくれよ。怖いよ。

なんやかんや大したことないきっかけで地元の人間ともちょこちょこ交流が生まれたりして、全然客が居なかったかもめ食堂に特に苦労も努力もなくどんどんお客さんが来るようになって大繁盛めでたしめでたしどんど晴れ

 

全編通してずっっっっとふわふわしてて意味がありそうで全然ない。よく分からない人がよく分からない設定でよく分からない事をして終わる。とにかく「地に足が着いていない」映画だった。

ファンタジーだと思えばまぁ、って感じだけどファンタジーというにはキャストがな…(これが若手女優とかだったらまだファンタジーというよりもイメージビデオ的な扱いになったのかもしれない)

かもめ食堂Google検索しようとするとサジェストで「気持ち悪い」って出てくるんだけど、この「気持ち悪い」というのは消化不良的な意味の「気持ち悪い」もあるんじゃないかなと思う。映画の雰囲気自体への嫌悪感からの「気持ち悪い」って人もいるだろうけど(それもなんとなく分かる)「いい事言ってるでしょ」「深いこと言ってるでしょ」的な押しつけがちょいちょい感じられるんだけど全然深くもなんともねぇ。そこが「気持ち悪い」

 ていうかこれでフィンランド行きたくなるか??言うほどフィンランドっぽい所出てこなくない?これ観てフィンランド行きたくなるならミッドサマー観ても北欧行きたくなるよね?違うとは言わせねぇ。

 

めちゃくちゃ絶賛している人とめちゃくちゃ嫌いって言う人がかなり割れている印象。私もどちらかと言えば後者。

でも私、映画観る時って体力気力がある時なんだけど、この映画に関しては全く体力も気力も消耗しないのでその点は良いなと思った。精神がすり減らない。ただ時間だけが減る。

「ほっこりしました」とかいうレビューを書いている人もいたけど、私だってほっこりしたかった。ほっこりしたくて観たのになぜこんなに怖い思いをせねばならんのだ。イッタラのグラスかち割ってそれで手首切って死ぬかマリメッコのエプロンで首絞めて死ぬかしないとそういう人間には生まれ変われないのか。それが出来なければIKEAを彷徨う亡霊になるしかないのか。

 

「意味の無いふわふわした」って散々言ったけど、基本的にいつも感性が死んでいて映画観ても「映画だなぁ〜」位の感想しかないんでそのせいかもしれない。

でもかもめ食堂はマジで作り手の意図が私には分からなくて薄気味悪くて怖かった。